2025年11月27日、ファッション業界のみならず、世界の投資家が注目する大きなイベントが控えています。NIGO®氏が創業したHUMAN MADE株式会社(証券コード:456A)の東京証券取引所グロース市場への新規上場(IPO)です。
「単なる人気アパレルブランドの上場」と見ていませんか?
実はHUMAN MADEは、プロパー消化率100%(セールなし)、粗利率70%超という、アパレル業界の常識を覆す驚異的な財務体質を持つ「知的財産(IP)カンパニー」へと進化を遂げています。
本記事では、投資判断に役立つHUMAN MADEのIPO基本情報、他社と一線を画すビジネスモデル、そして今後の成長戦略を分かりやすく解説します。

HUMAN MADE(456A)のIPO基本情報とスケジュール
まずは上場に関する基本的なスケジュールと最新のIPO情報を確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
| 会社名 | HUMAN MADE株式会社 |
| 証券コード | 456A |
| 上場市場 | 東証グロース |
| 上場承認日 | 2025年10月23日 |
| 上場予定日 | 2025年11月27日(木) |
| 想定時価総額 | 約669億円 |
市場からの初期評価は、その圧倒的な知名度と成長性が高く評価されています。一方で、公開株数が多めであることから、初値形成における需給面では慎重な見方(大手予想で総合評価「C」など)もあります。しかし、後述するビジネスモデルの強固さを踏まえれば、中長期的なポテンシャルは非常に高いと言えるでしょう。
なぜすごい?HUMAN MADEの「非常識」な高収益モデル
HUMAN MADEが投資家から注目される最大の理由は、これまでのアパレル企業の常識を覆す独自のビジネスモデルにあります。
1. 「セールをしない」プロパー消化率100%の衝撃
通常、アパレル企業は在庫リスクを抱え、最終的にセールで処分するため利益率が低下します。しかし、HUMAN MADEは「セールを一切行わない」方針を徹底。それでも粗利率70%超という、ラグジュアリーブランド並みの高収益を維持しています。
これを可能にしているのが「52週MD(マーチャンダイジング)体制」です。
- 毎週新作を少量ずつリリース
- 「今買わないと二度と手に入らない」という熱狂的な需要を創出
- 結果として、ほぼ全ての商品が定価で即時完売する
このサイクルが確立されているため、在庫リスクが極めて低いのが特徴です。
2. 広告宣伝費は売上の「1%未満」
世界的な知名度を誇りながら、従来のマス広告をほとんど打っていません。
創業者であるNIGO®氏をはじめ、アドバイザーであり株主でもあるPharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)氏やKAWS(カウズ)氏といった世界的アイコンが商品を着用することで、SNSを通じて世界中にオーガニックに拡散されます。彼らが強力な「歩く広告塔」となるため、莫大な広告費をかける必要がないのです。
3. 徹底したD2C戦略で利益を最大化
百貨店や卸売に依存せず、顧客に直接販売するD2C(Direct to Consumer)モデルを確立しています。
- 自社EC売上:約40%
- 直営店売上:約35%
これにより中間マージンを排除し高い利益率を確保すると同時に、ブランドの世界観を完全にコントロールすることに成功しています。
業績推移:4年で売上6倍の急成長

財務データを見れば、その成長スピードは一目瞭然です。単なるブームではなく、構造的な成長を続けています。
- 売上高:2021年1月期の約18.5億円から、2025年1月期には約112.6億円へ(約6倍)
- 経常利益率:直近で28.2%という、極めて高い水準を達成
売上規模が拡大するにつれて利益率も向上しており、非常に効率の良い「稼ぐ力」を持った企業体質と言えます。
盤石の経営体制:「クリエイティブ」×「経営」の分離
「NIGO®氏個人のカリスマ性に依存しすぎているのでは?」という懸念に対する回答が、現在のプロフェッショナルな経営体制です。
- クリエイティブ担当:NIGO®氏(創業者)ブランドの魂である世界観・デザインに専念。
- オペレーション担当:松沼礼 CEO元ユニクロ グローバルマーケティング部長。ビジネスの仕組み化・効率化を推進。
- グローバル戦略担当:鳩山玲人 CSO元サンリオ常務として「ハローキティ」の世界的成功を牽引。海外展開を指揮。
この強力な「三位一体」体制に加え、ファレル氏やKAWS氏を経営のステークホルダーとして取り込むことで、持続的な成長が可能なガバナンスを構築しています。
上場後の成長戦略:目指すは世界的「IPスタジオ」
IPOで調達した資金は、さらなる成長のために投資されます。目指す姿は単なるアパレル企業ではなく、世界的な「IPスタジオ」です。
- 「IPスタジオ」への進化アパレル商品を売るだけでなく、キャラクターなどの「知的財産(IP)」ビジネスを拡大。M&Aも視野に入れ、世界のカルチャーを牽引するコングロマリットを目指します。
- 海外展開の加速すでに海外売上比率は60%を超えていますが、特に米国市場での現地法人設立や物流網強化を進め、さらなるシェア拡大を狙います。
- 超大型旗艦店の出店東京(原宿・青山エリア)や大阪に、ブランドの聖地となる大規模な旗艦店をオープン予定(総投資額14億円以上)。ブランド体験を深化させる拠点を作ります。

まとめ:HUMAN MADE (456A) は「買い」か?
HUMAN MADEのIPOは、「日本発の世界的カルチャーブランドが、高度に仕組み化された高収益企業としてグローバル市場で戦う挑戦」です。
短期的には人気過熱による株価乱高下も予想されますが、「セールなしで完売させるブランド力」と「強力な経営陣」は、中長期的な投資対象として非常に魅力的です。11月27日の上場日は、株式市場の大きな話題となることは間違いないでしょう。
※本記事は情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はご自身の判断で行ってください。