2025年12月1日、建設業界に特化したDX(デジタルトランスフォーメーション)支援企業「BRANU株式会社」が東証グロース市場に新規上場(IPO)します。
「建設DX」と「AI」という強力なテーマ性を持つSaaS企業であり、投資家の注目を集めることは必至です。
この記事では、BRANU(460A)がどのような会社で、IPO投資として「買い」なのか、事業の強みと懸念点をわかりやすくまとめます。

BRANU (460A) のIPO基本情報
まず、IPOの基本スケジュールとデータを確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
| 銘柄コード | 460A |
| 上場市場 | 東証グロース |
| 上場予定日 | 2025年12月1日(月) |
| 仮条件 (価格帯) | 930円 ~ 980円 |
| 想定時価総額 | 約41.9億円 ~ 約44.1億円 (※仮条件の上限で計算) |
| 公開株数 | 1,130,000株 (公募 500,000株 / 売出 630,000株) |
| 主幹事証券 | みずほ証券 |
| その他幹事 | SBI証券, 楽天証券, 岡三証券など |
BRANU株式会社とは? 事業内容をわかりやすく
BRANUは、一言でいえば**「中小建設事業者の経営課題をITでまるごと解決する会社」**です。
主力サービスは、建設DXプラットフォーム「CAREECON Platform(キャリコンプラットフォーム)」です。
- マーケティング支援 (Webサイト制作)
- 採用支援
- 施工管理 (図面や写真の管理)
- 経営管理
など、建設業の基幹業務を幅広くカバーするSaaS(サブスクリプション型)のビジネスツールを提供しています。

BRANUの最大の強み:AI「BRANU BRAIN」
BRANUの競争優位性の源泉は、AIプロジェクト「BRANU BRAIN」にあります。
建設業界には、どんぶり勘定が原因で「帳簿上は黒字なのに資金がショートする」という**「黒字倒産」**の深刻なリスクが存在します。
BRANUは、5,000社を超える契約企業から得られる(秘匿化された)膨大な経営データをAIで分析。これにより、個々の中小企業では不可能だった**「利益予測」や「工程遅延予測」**といった未来予測を提供し、黒字倒産のリスクから企業を守ることを目指しています。
これは、他社が簡単に真似できない強力な「データ・モート(参入障壁)」となっています。
業績と財務:利益が急成長中!
BRANUの業績は、まさに「急成長」フェーズに突入しています。
| 決算期 | 売上高 | 経常利益 |
| 2023.10 (通期) | 1,146百万円 | 48百万円 |
| 2024.10 (通期) | 1,412百万円 | 96百万円 |
| 2025.07 (Q3累計) | 1,486百万円 | 190百万円 |
注目すべきは、2025年10月期の第3四半期(9ヶ月間)の累計経常利益(190百万円)が、すでに前期の通期利益(96百万円)の約2倍に達している点です。
これは、SaaSビジネスの先行投資が終わり、利益が一気に拡大する「収穫期」に入ったことを強く示しています。

BRANU (460A) の強み(投資の注目ポイント)
IPO投資としてBRANUに期待できる「強み」は以下の3点です。
1. 巨大市場(建設DX)とAIの優位性
建設業界のDXは、国が推進する待ったなしの巨大トレンドです。「BRANU BRAIN」というAI活用による独自のデータ・モートは、競合に対する強力な優位性となります。
2. 利益急増の「SaaS収穫期」
前述の通り、財務データが「利益のホッケースティック化」を証明しています。高い利益成長率は、株価の強力な上昇ドライバーとなります。
3. 5,000社超の強固な顧客基盤
SaaSモデルの基盤となる契約社数は5,000社を超えています。これは安定したストック収益を生み出し、業績の下支えとなります。
BRANU (460A) の懸念点(リスク)
一方で、今回のIPOには明確な懸念点も存在します。
1. 創業者による「出口戦略(Founder Exit)」の懸念
今回のIPOは、会社の成長資金を集める「公募」(500,000株) よりも、既存株主が株を売る「売出」(630,000株) の方が多くなっています。
さらに、この売出はすべて創業者である代表取締役社長の保有株から行われます。これは「創業者の出口(イグジット)戦略」と市場から見なされ、投資家心理にネガティブに働く可能性があります。
2. 90%超を保有する「支配株主リスク」
BRANUは、創業者が自身の資産管理会社と合わせてIPO後も90%近い議決権を維持します。
これは、経営の意思決定が創業者の意向で全て決まることを意味し、他の少数株主の利益が守られない可能性がある「ガバナンス・リスク」を内包しています。
3. 180日後の「オーバーハング」懸念
創業者を含む主要株主には180日間のロックアップ(売却禁止期間)が設定されています。
しかし、ロックアップが解除される180日後(2026年5月29日予定)に、この90%近い大量の株式が市場で売却されるかもしれないという懸念(オーバーハング)が、将来的な株価の上値を重くする可能性があります。
結論:BRANU (460A) は「買い」か?

BRANU(460A)のIPOは、「事業の将来性はAクラス、しかし資本政策に大きな懸念あり」という評価になります。
- 事業内容: 建設DX×AIというテーマ性、データ・モート、急成長する利益。どれも素晴らしく、成長期待は非常に高いです。
- 懸念点: 創業者の「出口戦略」と「支配株主リスク」が、中長期的な株価の重しとなる可能性は否定できません。
投資戦略としては:
公開株数は少なく需給が締まりやすいため、上場直後の初値は堅調に推移すると予想されます。
ただし、中長期で保有する場合は、180日後のロックアップ解除という明確なリスクイベントを意識する必要があります。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資の最終決定はご自身の判断と責任において行ってください。