2026年4月、日本の株式市場で 日本製鋼所 (5631)の株価が力強い反発を見せています。

その大きな引き金となったのが、 SMBC日興証券 による投資判断の継続と、目標株価の大幅な引き上げです。従来の10,800円から 12,400円 への上方修正は、同社が単なる「防衛テーマ銘柄」にとどまらず、実利を伴う成長フェーズに入ったことを示唆しています。
本記事では、防衛予算の拡大、原子力回帰、産業機械の受注動向など、投資家が知っておくべき「日本製鋼所の真の価値」を専門的視点から分かりやすく解説します。
1. SMBC日興証券による評価と市場の反応
2026年3月末時点で、多くのアナリストが日本製鋼所に対して 強気買い の判断を下しています。

目標株価12,400円の妥当性
SMBC日興証券が算出した目標株価12,400円は、現在の株価水準から約37%以上のプラス乖離(上昇余地)を見込んでいます。この強気な姿勢の背景には、以下の2点があります。
- 産業機械事業 における豊富な受注残の着実な消化。
- 防衛・エネルギー部門 における中長期的な利益率の拡大。
市場は、同社が持つ「代替不可能な技術」を正当に評価し始めており、株価の下値は堅いと考えられます。
2. 「火砲の門番」としての圧倒的な独占力
日本製鋼所の最大の強みは、国内唯一の 火砲(大口径の砲)メーカー であるという点です。

防衛予算9兆円時代の恩恵
2026年度(令和8年度)の日本の防衛予算案は約 9兆円 規模に達し、前年度比で9.4%増額されています。この歴史的な予算規模の中で、日本製鋼所は以下の重要装備を独占的に供給しています。
- 陸上自衛隊 :10式戦車などの戦車砲、24式機動120mm迫撃砲。
- 海上自衛隊 :護衛艦に搭載される5インチ速射砲。
防衛産業はかつて「薄利」と言われてきましたが、政府の利益率適正化方針により、同社の防衛・エネルギー部門の営業利益率は 18.7% (2026年3月期Q3)と、極めて高い水準を誇っています。
3. エネルギー安全保障と「原子力回帰」の波
世界的なカーボンニュートラルへの移行と、エネルギー安全保障の観点から、 原子力発電 の価値が再評価されています。

日本製鋼所は、原子炉の心臓部である「原子炉圧力容器」に使用される 大型鋳鍛鋼品 において、世界でも数少ない供給能力を持つ企業です。
素形材・エンジニアリング事業の躍進
2026年3月期第3四半期の受注高は、前年同期比で 19.4%増 の462億円を記録。国内の原発再稼働準備や、次世代の小型モジュール炉(SMR)への期待が、同社の長期的な収益基盤を支えています。
4. 産業機械事業:EV・半導体分野での貢献
売上高の約8割を占める 産業機械事業 も堅調です。同社のプラスチック成形機やフィルム製造装置は、スマートフォン、EV(電気自動車)、半導体の製造に欠かせません。
- 売上高 :前年同期比 22.1%増 の1,678億円(2026年3月期Q3累計)。
- 現状 :コロナ禍以降の受注残が順調に売上計上されており、増収に寄与。
中国市場の減速という懸念材料はあるものの、米国やインドにおけるインフラ投資がそれを補完する形となっています。
5. 投資家が注意すべきリスクと注意点
投資判断を行う上で、以下の2つのポイントは注視しておく必要があります。
- インドの「JSW Steel」との混同に注意インド最大級の鉄鋼メーカー「JSW Steel Limited」も同じ略称を使用していますが、日本の日本製鋼所とは別企業です。混同しないよう注意が必要です。
- 地政学的リスクと政治動向防衛予算の拡大は国策ですが、国内の政治情勢や財政再建の議論によって予算の伸びが鈍化する可能性もゼロではありません。
結論:日本製鋼所は「国策」に守られた成長株
日本製鋼所(5631)は、もはや一時的なテーマ株ではありません。

- 防衛 :国内唯一の火砲メーカーとしての独占的地位。
- エネルギー :世界最高峰の鋳鍛鋼技術による原子力回帰への対応。
- 産業機械 :製造業のDXやEV化を支えるインフラ。
これら3つの柱がバランスよく機能しており、SMBC日興証券が示す 12,400円 という目標株価は、同社の「技術的独占力」に対する期待の表れと言えるでしょう。
2026年5月中旬に予定されている通期決算発表に向けて、さらなる上方修正や大型契約のニュースが、株価を新たなステージへと押し上げる可能性があります。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断で行ってください。